八十八&一二三の文楽れんらくちょう

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【読売新聞】「谷崎」を歩く ほれ込んだ芝居の街

【読売新聞】より。

「谷崎」を歩く ほれ込んだ芝居の街(2011年5月1日 読売新聞)

谷崎と小出楢重について語る小出龍太郎教授(大阪市中央区の戎橋で)


谷崎が愛した文楽。「蓼喰う虫」にも登場する「心中天網島」の一場面(国立文楽劇場提供)


 地震後、しばらく消えていたグリコのネオンが川面を照らした。夕刻、若者や会社員らの一群が心斎橋筋から戎橋に流れ込む。大阪・道頓堀。1枚の挿絵を頼りに、谷崎潤一郎がほれ込んだ芝居の街を探しに訪れた。

 挿絵には、今も残る松竹座を背景に、和服やシルクハットの紳士、親子連れらが行き交う戎橋が描かれている。谷崎が1928年(昭和3年)に新聞連載を始めた小説「蓼喰(たでく)う虫」の冒頭、主人公の要と美佐子が文楽の観劇で道頓堀を歩く場面に添えられた。絵筆を執ったのは、大阪で生まれ育ち、活躍した洋画家・小出楢重(1887~1931年)だ。

 当時、この界隈(かいわい)は、弁天座、朝日座、角座、中座、浪花座といった芝居小屋が並ぶ「道頓堀五座」と呼ばれ、文楽や歌舞伎、寄席を楽しむ客でにぎわった。関東大震災で関西に逃れた谷崎も、文楽に魅せられて劇場通いを始めた。そんな頃、千日前のダンスホールで楢重と出会う。交流が深まるなか、二つの才能は互いに影響を与え合った。

 「人物を詳細に描かず、読者のイメージに委ねる谷崎の手法は、楢重が挿絵や裸婦を描く時の特徴と重なる」と、楢重の孫、大阪芸術大の小出龍太郎教授(58)(フランス文学)は話す。

 確かに、「蓼喰う虫」の美佐子やお久の顔立ちはほとんど触れられていない。谷崎は登場人物にこうも語らせる。

 〈昔の人の理想とする美人は、容易に個性をあらわさない、慎み深い女であったのに違いないから、この人形でいい訳なので、これ以上に特徴があっては寧(むし)ろ妨げになる〉

 谷崎は大阪で日本的な女性美を見いだす。ちょうど、関西とその文化に傾倒する時期とも重なる。

 かつて頭から性に合わないと嫌った文楽について、小説のなかで〈独特であって、このくらいよく考えてあるものはない〉と称賛し、以前は〈人間の方はどうも喰ひ物(くいもの)ほど上等ではないや(よ)うである〉とこきおろしていた大阪も、〈生活の定式というものが今も一と通りは保存されている〉と評価するようになった。

 「仮面の谷崎潤一郎」を著した作家・大谷晃一さん(87)は震災の影響を指摘する。「昔ながらの東京は地震でつぶれてしまった。復興したモダンな東京が嫌になった谷崎は、当時の大阪に、昔ながらの情緒を見つけたんでしょう」

 だが、谷崎が好んだ道頓堀界隈もまた、戦災で失われる。五座の名を継いだ劇場は、戦後復活したものの、2008年にすべて消えた。

 今、戎橋に立っても、谷崎が愛した情緒は見あたらない。手元の挿絵を模写した銘板が欄干に付けられているだけだ。地元商店主らが道頓堀の歴史を語り継ぐために寄贈したという。

 橋から南に下り、千日前通を東へ。国立文楽劇場をのぞいた。太夫の語りと三味線の音色に合わせて、人形遣いが、きらびやかな衣装に身を包んだ文楽人形を自在に操る。



渡辺重子愛用の羽織 客席には和服が目立つ。白髪を整えた老夫婦や、上品に着飾った女性たち。劇場は時に笑いに包まれ、人情話には涙ぐむ。

 谷崎が愛した芝居の街が、確かにそこにはあった。(坂木二郎)

 重子は、谷崎の妻・松子の妹で「細雪」の三女雪子のモデルとなった。京都の平安神宮に花見に行った際に愛用した羽織。落ち着いた中にも華やかさが見られるデザインで、往時を彷彿(ほうふつ)とさせる。(井上勝博・芦屋市谷崎潤一郎記念館学芸員)

 芦屋市谷崎潤一郎記念館(兵庫県芦屋市伊勢町12の15)で6月26日まで開催している春の特別展「四姉妹の昭和―よみがえる『細雪』の世界―」で展示

メモ 道頓堀五座は江戸時代初期、幕府から興行権を認められたのが始まり。明治以降も界隈は高級娯楽街として栄えた。文楽は現在、国立文楽劇場で上演される。6月10日~23日には初心者向けの文楽鑑賞教室が開かれる。演目は牛若丸と弁慶が出会う「五条橋」と「仮名手本忠臣蔵」で字幕や解説付き。5月3日から予約開始。問い合わせは国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)。


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