八十八&一二三の文楽れんらくちょう

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【MSN産経フォト】文楽に逢う

【MSN産経フォト】より。

文楽に逢う(2011.07.12)

 ただ一人、10キロほどもある人形を持ち上げ、繰り返し扇を持つ手の動きを確認する吉田幸助。静寂と張り詰めた空気が稽古場を包む。時折、かすかに聞こえる息づかいと布の擦れる音、「カタッ、カタッ」という人形の響きが何かの儀式を思わせた。ひとしきり演技を確認したころ額には玉のような汗が光っていた。撮影のために薄暗くした室内。フラッシュが光るたびに邪魔をしているようで気が引けたが、スローシャッターが写し出した残像は、幸助と実盛の人形が一体となっていく過程を見せてくれた。


「若手会」に向け、たったひとり稽古を重ねる吉田幸助さん


 額から汗がしたたる。黒衣の下はもうすでにびっしょりだが、吉田幸助は、10キロはあろうかという重い人形をぐいと持ち上げ、何度も何度も扇をかざす演技を繰り返した―。

 大阪・国立文楽劇場。4階の稽古場で、幸助はひとり、「若手会」に向けて稽古を重ねていた。


「釣女」狂言から移入された本作はコミカルな掛け合いが楽しい。左から美女・吉田簑紫郎、太郎冠者・吉田清五郎、大名・吉田玉勢、醜女・桐竹紋臣


 役どころは、文楽屈指の時代物の大作「源平布引滝」の斎藤実盛。吉田玉助、吉田玉男…代々の座頭格の人形遣いが遣ってきた大役中の大役である。

 「ずっとやりたいと夢見ていた役でした。特に、玉男師匠の実盛が豪快で、かっこよくて、爽快で…。憧れ続けていました」


「源平布引滝」(九郎助住家の段)九郎助が葵御前をかくまっていることを平家方に密告しようとした矢橋仁惣太(吉田文哉)を討ち取る斎藤実盛(吉田幸助)


 実盛は平家方の武将だが、心は源氏にある。そんな実盛が、源氏に忠義を尽くす庶民の九郎助一家に情けをかける。

 「二股武士といわれる人物ですが、歌舞伎でいう生締物ですのでお客様にスカッとしていただかないといけない。難しい役です」


若手会の「釣女」に出演するため、鶴澤清介(右)の指導の下、稽古に励む三味線の若手たち。左から鶴澤清𠀋、豊澤龍爾、鶴澤寛太郎、鶴澤清公、野澤錦吾


 人形遣いは、主遣いになるまでに、足遣い、左遣いを修業しながら人形の遣い方や役の性根を学ぶ。ところが、幸助はこれまで一度も、実盛の足も左も遣ったことがなかった。「父(吉田玉幸)が敵役の瀬尾を勤めることが多く、その足や左をやっていたんです」

 そこで配役が決まった4月公演中から、尊敬する玉男の実盛の映像を何度も見てその動きを頭にたたきこんだ。「いわばイメージトレーニングですね」


「釣女」女の人形では珍しい足がある醜女の人形。かわいらしく憎めない表情や姿は海外公演でも人気だという。(桐竹紋臣)


 幸助は人形遣いの家の三代目。祖父は戦前戦後、スケールの大きな立役遣いとして活躍した玉助、父は大きな敵役や武将を得意とした玉幸。そのDNAを受け継いだ幸助は子供のころすでに、人形遣いになると決めていた。


ただ一人、10キロほどもある人形を持ち上げ、繰り返し扇を持つ手の動きを確認する吉田幸助


 文楽は伝統芸能の世界では唯一、実力主義を標榜する。たとえ親が人間国宝でも、本人に実力がないといい役がつかない。それだけに二世や三世には別のプレッシャーもあろう。

 しかし幸助はいう。「ちっちゃいころから劇場に出入りしていたことがよかった。素直にいろんな教えを聞けましたから」

 汗をぬぐいながらさわやかな笑顔を残し、楽屋に戻っていった幸助。その未来は明るく、輝かしい。

 写真 頼光和弘

 文  亀岡典子 



「源平布引滝」(九郎助住家の段)颯爽とした斎藤実盛を演じる吉田幸助(右)


【足遣い】 人形遣いの修業は「足10年、左10年」といわれ、入門するとまず足遣いを10年勤め、次に左遣いを10年勤めてからようやく役の性根と動きを決定する主遣いになれる。足遣いは人形の両足首の後方についているあしがねを持ち、腰をかがめて主遣いの体に接し、主遣いの動きを察しながら人形の足を動かす。肉体的にも大変な作業だが、人形遣いの基本は足遣いにあるといわれるほど大切な修業である。

(写真の無断転載を禁止します)


「源平布引滝」(九郎助住家の段)豪快な瀬尾十郎を演じた吉田玉佳

「釣女」コミカルな動きが笑いを誘う太郎冠者(吉田清五郎)


頼光 和弘
 事件や事故に災害現場などの緊迫した現場取材が多い無骨者。最近、古典芸能「文楽」の魅力にとりつかれたが「似合わない」との周囲の声も…。チャームポイントはウエスト98センチのビール腹


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