八十八&一二三の文楽れんらくちょう

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【SANSPO WEB】コラム 文楽『義経千本桜』

【SANSPO WEB】コラム 秋葉原日記(毎日更新)より。

文楽『義経千本桜』

 先日の大阪出張の折、国立文楽劇場で文楽公演を見る機会があった。
 文楽とは、もとより人形浄瑠璃のことで、歌舞伎よりも古い歴史を持つ伝統芸能であり、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。
 文楽を見るのはこれが初めてで、かねて一度は見たいものだと念願していたものがやっとかなった。
 文楽劇場は大阪の日本橋(にっぽんばし)にあり、小社関西支社のある難波とは千日前通りですぐ隣町のところだった。
 この日の公演は、第1部第2部合わせて5本の演目が6幕で構成されていたが、この劇場の都合のよいところは、幕見席というチケットがあって、1幕あたりの料金が500円から1500円と割安なこと。通しなら1等席が各部5800円のところを好きな幕だけ見られるわけだから、席の良し悪しはともかくとしてもこれは時間的にも料金的にも随分と融通が利く。
 それで自分は、『義経千本桜』の「道行初音旅」と「河連法眼館の段』の2幕を見た。なお、段とは歌舞伎でいう場のことだろう。
 国立文楽劇場は、人形浄瑠璃の定席ということだからこぢんまりとしたものかと想像していたらとんでもない、7百席を超すかという大ホールだった。そして、この日はこの大ホールがほぼ満席だった。そのなかなかの人気ぶりには率直に驚かされた。
 さて、義経千本桜の舞台。黒子が拍子木を打って開演を告げると同時に、すでに舞台上手の床に裃を着て正座している大夫と三味線を紹介する。これが道行の段では大夫6人、三味線5人の構成だった。
 さあ、いよいよ幕が上がる。舞台全面が桜の花である。道行初音旅は静御前と佐藤忠信の吉野山への道行の場面だからでとても華やか。義経千本桜は歌舞伎もそうだが文楽でも人気の演目だろうし、いかにも正月公演に似つかわしい雰囲気がある。
 静が忠信とともに義経が隠れているという吉野に向かっているという場面で、文楽で数ある道行の中でも、義経千本桜のこの道行は最も有名なものであろうが、白拍子である静の舞が中心の構成でとても美しい。
 人形は、1人の人形遣いに加えて2人の黒子の総勢3人で操っている。ただ、自分のこの幕見席は下手の最後方で、舞台に遠くて人形の細かな動きを見るにはふさわしくなかった。それでも、ここの舞台は結構な大きさで、どのような演劇に使用して不都合のあるものではないほどなのだが、それほどの大きい舞台を使って人形がかすむどころか、十分な存在感を示していることに新鮮な驚きを覚えた。
 この幕はやや短くて約30分ほど。15分の休憩が入った。
 次が、河連法眼館の段。5段構成の義経千本桜のうちの4段目で佳境というところか。床は大夫1人、三味線1人という構成。
 義経がかくまわれている法眼の館に忠信が到着し、途中で忠信とはぐれてしまったという静が遅れて現れるという設定。
 この段は、物語性もあり、凝った仕掛けもあったし、登場する人形(頭と呼ぶらしい)の数も最も多い場面で5つともなって楽しい。
 この場面の中心人物は、九郎判官義経でも静御前もなく、佐藤忠信であろう。この忠信が忠信そのものと狐が化けた忠信実は源九郎狐とが登場する。そして鼓が重要な役回りを担っている。
 忠信と狐が切り替わるのが素早くてとても見事。この段は全般にリズムがあるしダイナミックで面白い。また、狐が化けていたときの忠信の所作はいかにも狐の手つきが現れていて面白かった。
 大夫は、進行を司っているほか、粗筋を解説し、その上で登場する人形役割の全部について1人で声色を替えながら浄瑠璃を語らなければならないから大変難しい。この段は70分もあって長かったから、途中で大夫と三味線が交代した。それが見ていると、床が回転するらしく、切り替わりは瞬時のことだった。
 そして最後の場面の仕掛けが面白かった。舞台全面がどんでん返しでもしたように一瞬にして変わり、忠信実は源九郎狐が宙に上っていく。おそらくワイヤで宙づりにしているのだろうと思われるが、なかなか大胆なことで驚かされた。
 この場面、歌舞伎では宙づりをする役者はこの頃では少なくなっていることを勘案すると文楽の伝統芸能としてのこだわりがわかるようだった。
 それで、文楽と歌舞伎。文楽が初めに登場し、遅れて歌舞伎が続いたということなのだろうが、使っている本は同じだろうし、人気の狂言も似たようなもの。ただ、歌舞伎は役者自身の工夫が施されて様々なバリエーションが生まれてきたというようなことは言えるのかもしれない。
 この文楽の舞台を見ていて、さて、忠信は歌舞伎ならどの役者が演じたら最も楽しいのだろうななどということを考えていた。きりっとした侍と悩み深い源九郎狐の二役を演じなければならないから難しい役どころだろうが、歌舞伎通なら、かつての尾上松禄(二代目)がよかったし、現役では尾上菊五郎もいいというのかもしれないなどと思いふけって楽しんでいた。
 初めて見た文楽の公演。とても楽しいものだった。人形浄瑠璃とは思われない豊かな舞台世界が広がっていて感心した。文楽への知識がまるでなく、しかも初めて見たのにこの面白さ。大夫の台詞が素直にわかり、人形遣いの所作に理解が高まればさらに面白いものとなっていくのだろうと思われたし、歌舞伎もそうだが伝統芸能のもつ深い魅力の一端に触れることができてとても印象的で感動したのだった。


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