八十八&一二三の文楽れんらくちょう

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【読売新聞】【名作探訪】「艶容女舞衣」 法善寺(大阪府)

【読売新聞】より。

【名作探訪】「艶容女舞衣」 法善寺(大阪府)(2012年2月24日 読売新聞)

.ネオンの夜 心中の闇遠く
しんしんと冷える冬の夜。提灯(ちょうちん)がともる法善寺境内は参拝客だけでなく飲食店へ向かう人々の通り道にもなっている(大阪市中央区で) 氷雨が石畳をぬらしている。大阪・ミナミの法善寺。別称を千日寺という。

 飲食店が並び、深夜まで酔客でにぎわう門前の「千日前」が、江戸期には刑場や墓地、火葬場だったとはにわかに信じがたい。芝居小屋が軒を連ねた道頓堀も目と鼻の先だった。

 〈霜夜に冴(さ)ゆる月代(さかやき)の、更け行く空にしんしんと、身にしみじみと冷えわたる、千日寺の鐘の音に、引かるるごとくやうやうと、火屋の辺りに着きにける〉

 千日前で実際に起きた心中事件を題材にした文楽「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)」のラスト、主人公・半七と恋人の女舞芸人・三勝(さんかつ)が心中に向かうシーンだ。火屋とは火葬場のことで、一帯は「さいたら畑」と呼ばれた。地獄と極楽の間、彼岸と此岸(しがん)の間の畑を意味するという。


 「男女の三角関係とはいっても、どろどろした嫉妬の話ではない。許しと愛に満ちた物語だからこそ名作になった」。文楽太夫、豊竹英大夫(はなふさだゆう)さん(64)が語る。

 大坂・上塩町で酒屋「茜(あかね)屋」を営む半兵衛の息子・半七は、お園という妻がありながら、愛人・三勝との間に子まで授かる。半兵衛は息子を勘当し、お園は実家に連れ戻される。半七はやがて、三勝に横恋慕する善右衛門をあやめてしまう。

 〈今頃は半七様、どこにどうしてござらうぞ〉で始まるお園のクドキ(心情吐露)は、名ぜりふとして知られ、同じ法善寺界隈(かいわい)を舞台にした織田作之助の小説「夫婦(めおと)善哉(ぜんざい)」にも引用された。

 「ほろりとさせるクドキの場面は、悲しみをあふれさせるのではなく、涙をグッとこらえ、少し笑顔を作るような心持ちで語るほうがいい」と英大夫さん。それが観客に人物の情を伝える文楽の妙味だという。

 お園と半七は形ばかりの夫婦という設定だ。「半七と三勝は元々恋人同士だったが身分の違いから結婚できなかったのでは。半七は三勝に操を立てて、お園と閨(ねや)を共にしなかった。純粋な男です」

 お園は「私さえいなければ」と我が身を責め、三勝はまな娘をお園に託して、罪人となった半七と死出の旅に赴く。

 半七は「未来は必ず夫婦にて候」としたためた遺書をお園に渡す。英大夫さんは「哀れなお園へのぎりぎりの愛情表現」とみる。三勝も焼き餅は焼かない。「本来は敵であるはずの妻と愛人が互いに思いやりと尊敬の念を抱き合い、恨みつらみは露ほどもない」



 法善寺から南東へ約200メートル、千日前通りに面した三津寺墓地に三勝半七の墓があると聞いた。三津寺の加賀哲郎住職(55)に案内してもらう。古びた墓石は、いびつな形に削られ、碑銘さえない。

 「昔は、芸事のお守りとして、二人の墓石を削って身に着ける役者さんが多かったそうです」と加賀住職。無縁仏も眠る墓地には、江戸初期に道頓堀を掘削し、後の繁栄の礎を築いた安井道頓の供養塔もある。

 ビルの谷間にうずもれた寂しい墓地を一歩踏み出せば、二人がたどったであろう夜の闇は想像もつかない。夕暮れの街のあちこちに、まぶしいほどのネオンがともり始めていた。

大阪文化・生活部 坂成美保
大阪写真部 守屋由子

艶容女舞衣
 心中事件を劇化した紀海音(きのかいおん)の「笠屋三勝廿五(にじゅうご)年忌」などを下敷きに1772年(安永元年)、3巻の人形浄瑠璃として初演。現在は下巻にあたる「酒屋の段」「道行(みちゆき)霜夜の千日」のみ上演される場合が多い。
法善寺
 千日念仏を行ったことから千日寺とも呼ばれる。境内には本尊・阿弥陀如来や水掛不動、金毘羅堂があり、観光客が絶えない。周辺には飲食店が並ぶ路地「法善寺横丁」もある。地下鉄なんば駅から徒歩10分。


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