八十八&一二三の文楽れんらくちょう

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【産経新聞】花形役者に聞く 文楽人形遣い・吉田簑紫郎(下) 揺るぎない思い しかし葛藤も

【産経新聞】より。


【ベテラン記者のデイリーコラム・亀岡典子の恋する伝芸】
花形役者に聞く 文楽人形遣い・吉田簑紫郎(下) 揺るぎない思い しかし葛藤も

2012.3.29 16:30 (1/4ページ)[ベテラン記者コラム]

 文楽人形遣いのホープ、吉田簑紫郎(よしだ・みのしろう)さんと話をしていていつも感じるのは、文楽への一途な思いである。小学生のころ初めて見た文楽の人形に魅せられ、迷うことなくこの道に飛び込んで20年以上が過ぎたが、その思いは一度も揺らぐことはない。しかし本人は、いまを「中途半端な時期」といい、「自分の中でさまざまな葛藤がある」と打ち明ける。その悩みとは-。今回は下の巻。


入門24年目 「あせっています」


 --入門して今年で24年目ですね

 吉田簑紫郎 正直、自分のなかでは中途半端な時期かなあと思っているんです。

 --というと

 簑紫郎 通常、人形遣いの修業は「足十年、左十年」といわれ、役の性根を決定する主遣(おもづか)いになるまでに、まず人形の両足を動かす足遣いの修業を10年して、それから左手を動かす左遣いを10年勤めるとされているんです。でも、いまの文楽では、足の修業をだいたいみんな20年近くやり続けています。昔に比べて修業のスピードが遅いんですね。だからなかなか次に進めない。

 --どうしてなんでしょう

 簑紫郎 いろんな事情があるんですが、人形遣いの世代にばらつきがあるのかなあと。つまり、僕たちの後の世代があまり入ってきてないから、いつまでたっても昔とあまり変わらない役どころなんです。

 --やっぱりあせりますか

 簑紫郎 正直、あせることもありますね。僕はいつも、師匠や先輩方が、僕の年齢やキャリアのとき、何をされておられたんだろうと考えて、もっと勉強しないとあかんなって反省するんです。僕が未熟だからといわれれば、それまでなんですが、それにしても全体にスローペースだと思います。

 --私も、外から文楽を見ていて、もう少し若い人たちを抜擢(ばってき)してあげてもいいんじゃないかなと思うことがあります。もちろんある程度、実力があってのことですが、その実力も、チャンスが与えられないとなかなかわからないものです

 簑紫郎 本当に僕らはまだまだなんですけど、未熟でも、一生懸命舞台を勤めることで、僕らと同じ若い世代のお客さんをひきつけられないかなあと思うんですよ。

 --私も、若いとき、文楽の舞台で20代、30代の技芸員の方々が懸命に勤めているのを見て、すごく感動したし、応援していきたいなあって思ったのを覚えています。なにより、古典芸能がすごく身近に思えました。たとえば本公演でも、ダブルキャストにするとかして、チャンスを増やしてもらいたいですね

 簑紫郎 そうなると、うれしいですね。ダブルキャストだと、やる方も、もう一人がどんな手で来るかなと考えて勉強したり、もっと工夫しますし、お客さんも両方比べてみようと思ってくださるかもしれないですね。


ブラジル人に学んだ初心


 --文楽はユネスコの世界無形遺産に認定されています。海外でもすごく受けると聞いていますが、いかがですか

 簑紫郎 すごいですよ。ロシアもフランスもスペインもすごかった。そういえば、スペインのマドリードの演劇フェスティバルに参加したとき、ブラジルの劇団の人たちとすごく仲良くなって、毎日のように遊びに行ってたんです。彼らは日本の芸能文化に憧れを抱いていて、舞踏の大野一雄さんを尊敬してるって言ってました。そのとき、彼らの宿舎に行ったんですけど、みんな一緒に狭い部屋で生活していて、僕らから見たら不自由なんですけど、彼らは自分たちが芝居ができることを純粋に楽しんでいた。そのとき、僕は自分が悲しくなっちゃったんです。僕らがやってる文楽はこんなにいろんな国で喜んでもらえているのに、いろんなことで不満に思ったりして…。もっと舞台に立てることを純粋に楽しもう。そんなふうに思いました。彼らに教えられましたね。

 --でも日本ではまだまだ古典芸能は近寄りがたいと、先入観を持つ人も多いですね

 簑紫郎 文楽って万人受けする芸能じゃないと思うんですよ。見てすぐ、「おもしろい」って思ってくださるお客さんもいらっしゃるけど、なかなか最初からすべてわかる芸能ではないでしょ。でも見れば見るほど深くなっていく。すごく奥深い芸能だと思います。だからこそ、まず最初に文楽を見ようと思ってもらえる機会を増やしていければと思うんです。

橋下改革で揺れる文楽界 「逆境をチャンスに」


 --文楽はいま、橋下徹大阪市長の補助金見直しで揺れています

 簑紫郎 ピンチのときこそ、それを逆手にとって、文楽のすごいところ、可能性をアピールしていきたいって思うんです。文楽には僕たちもまだ知らない、すごい可能性があると思う。それをどうしたら開花させられるかだと思うんです。

 --個人的には将来、どんな人形遣いになりたいですか

 簑紫郎 憧れの(吉田)簑助師匠を目標に頑張っていきます。師匠の人形って本当にすごくて、たとえば「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」のいがみの権太(ごんた)を遣われると、あの男くさいイメージの権太に、愛嬌(あいきょう)がにじみ出てくるんです。僕なんかが言うのも何ですが、ハラがあるし、見ててもおもしろい。僕も師匠のように、パーッと人をひきつけられるような人形遣いになりたいですね。

 --いろいろ悩みはあるかもしれないけど、やっぱりこの世界に入ってよかったですか

 簑紫郎 文楽という芸能自体が素晴らしいじゃないですか。だいたい三人で一体の人形を遣うこと自体おもしろいし、その中にしっかりしたストーリーがあって人間が生きている。見れば見るほど奥の深いところにたどりつける。こんな芸能にたずさわることができて、本当に幸せだと思います。

(聞き手 亀岡典子)


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